2023年9月23日土曜日

『鉄、還る山』 長坂絵夢さん (六合エリア)

 こんにちは、吉良です。

今回は、六合にある旧太子駅に展示されている長坂絵夢さんの

『鉄、還る山』をご紹介します。


本作品は、作者である長坂さんが「弁柄」(ベンガラ)の産地を探索する中で中之条六合にある、チャツボミゴケ群生地にたどり着いたことが発端となっています。

(弁柄とは、土中の鉄が酸化した「酸化第二鉄」を主成分とする顔料)


旧太子駅は、鉄鉱石を採掘していた群馬鉄山(現チャツボミゴケ群生地)の鉄鉱石を運ぶ専用線「太子駅」の始発駅として、戦時中の昭和20年に開業、昭和27年には旧国鉄に編入されました。


群馬鉄山では、生物が鉱石を生成するバイオミネラリゼーションによって褐鉄鉱床が形成されているため、閉山した今もチャツボミゴケと鉄バクテリアの生物活動の副産物として鉄鉱石が生成される現象が今も続いています。



After closing the mine in March 1965, reforesting program in the former Gunma iron Mine was started to protect environment. It begins from flood control in the mountains and finally the forest was revived after many years. We can see many kinds of growing alpine plants and pros- perity of Quercus crispula.

(1965年3月の閉山後、環境保護を目的として旧群馬鉄山の植林活動が始まりました。

山の治水から始め、長い年月をかけて森が蘇りました。

多種多様な高山植物が生い茂り、ミズナラの繁茂が見られます。)※作品から抜粋



植林活動の努力もあり、平成29年には六合チャツボミゴケ生物群集の鉄鉱生成地が「鉄鉱生成の歴史とその仕組みを観察できる貴重な場所」として国の天然記念物に指定されました。


旧太子駅では、群馬鉄山と太子駅との繋がりとしてトロッコに褐色の鉄鉱石を敷き詰め、

ミズナラを添えた作品が展示されています。


素材を辿った先にあった自然と人々の営みの歴史を旧太子駅で感じてみてはいかがでしょうか?





0 件のコメント:

コメントを投稿